完全内視鏡下心房細動手術
~脳梗塞予防のための低侵襲手術~

ウルフ-オオツカ法による
左心耳切除術、肺静脈隔離術

脳梗塞の原因とは?

脳梗塞を発症する患者さんのうち20-30%が心臓の内部にある血栓(血の塊)が血液の流れに乗り、脳の血管を閉塞させることで起きます。(心原性塞栓症といいます)
このうちのほとんどが心房細動(Af)という不整脈が原因となっています。
心房細動により血液がよどむことで、心臓の中の左心耳(左心房の一部)という部分に血栓が出来ます。このため心房細動の患者さんは抗凝固薬(ワルファリンなど)を内服し血栓が出来るのを予防しますが、それでも年間2.5%程度の脳梗塞発症率が残ります。

◎脳梗塞を単独で発症している患者さんは全国で100万人以上いると言われています。
◎また、抗凝固薬により出血を起こしやすくなるという問題点もあります。

ウルフ-オオツカ法

ランドール・ウルフ医師(米国)と大塚俊哉医師(日本)が考案した心房細動に対する外科的な治療法です。
ウルフ-オオツカ法では内視鏡を用いて左心耳を切除します。これにより血栓が出来る部分がなくなることで脳梗塞の発症率が0.25-0.5%程度まで低下できます。
また内視鏡を用いて行うため、手術による体への負担は非常に少なくて済みます。

左から秦広樹教授、佐村高明医師、大塚俊哉医師、森田純二医師

2022年4月から保険診療が開始されました。
2022年9月より徳島大学でもウルフ-オオツカ法を用いた完全内視鏡下心房細動手術を開始しています。(四国地方では初めて施行しました!)

この手術により脳梗塞発症のリスクが低下することに加えて、ほとんどの患者さんで抗凝固薬を中止することが可能です。

手術時の様子
皮膚切開(4カ所)
手術イメージ
内視鏡下での術野画像
切除した左心耳

左心耳切除に加えて両側の肺静脈隔離という手技を行う場合もあります。
これは心房細動自体が治療可能な場合であり、同じく内視鏡を用いて行います。
心房細動の原因となる電気信号の異常の約70%は肺静脈に由来していると言われており、この部分に電気的焼灼(アブレーション)を行うことで正常の脈(洞調律)に戻します。

  • 肺静脈が左心房に接続する部分を囲むように電気的焼灼を行います。
  • 右側については右の胸部に切開を追加して行います。

《手術時間》

左心耳切除のみを行う場合で30-40分程度
肺静脈隔離を追加して行う場合で1.5時間程度

《入院期間》

術後3-7日程度

以下の様な方は是非とも心臓血管外科外来へご相談ください!!

  • 不整脈などで抗凝固薬を内服しているが、脳梗塞を繰り返す方
  • 抗凝固薬内服による出血性合併症に困っている方
  • 医学的、社会的な理由により抗凝固療法継続が困難な方
  • 心房細動等の不整脈による脳梗塞のリスク、抗凝固薬による出血性合併症のリスクを限りなく低下させたいと考えている方
  • その他、心房細動や抗凝固についての悩みや相談のある方